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お年玉のあげ方で我が子の将来が変わる?!

そろそろ年末年始の予定が気になって来た頃だと思います。

こどもの頃は、クリスマスプレゼントやお正月のお年玉が楽しみだったのではないでしょうか?

 

一方で親になった今、

・親戚や祖父祖母からもらうお年玉が、こどもにとっては結構な大金になるのでいったいどう扱えばいいか?
親としてただ漠然と渡していいのか?

と悩む方も多いと思います。

 

実際、著書お小遣いのルールの読者やセミナー参加者からの質問で、非常に多いのが「お年玉」の上記の2つについてです。

そこで、マネー教育の観点で

1)お年玉はいくらにすればいい?
2)お金の管理/使い方はどう教えればいい?

この疑問について、お小遣いと比較しながらお答えしたいと思います。

お年玉のあげ方で我が子の将来が変わる?!

親として毎年の事だからとただ漠然とお年玉をあげると、いったいどんなことが起きると思いますか?

例えば、こどもにとって、お年玉で大きなお金が入ったとします。

生まれて初めて大金をもらった子は、どうしようか迷います。こどもは親にどうしたらいいか聞きます。

 

「お母さん(又はお父さん)、お年玉こんなにもらっちゃった。どうすればいい?」
「○○ちゃんが好きなもの買っていいよ」
「え?全部使っていいの?」
「いいよ!」

 

その子は、欲しいものをあれこれ考えます。最近では、人気ゲームの課金アイテムに使う、ガチャを回すという子も結構いるようです。

ゲームが全てダメという訳ではありませんが、せっかく親戚からもらったお年玉が、ただゲームに没頭する時間が増えて、もらったお金が消えていくのは、なんとも言えない気持ちになるという声を多く聞きます。

 

ゲームのことはさて置き、ここで私が言いたいのは、渡す側(親)の意図がぼんやりしていて曖昧、

つまり「どう使って欲しいかわからない」という状態だと、それがそのままこどもに伝わり、こどもにとっても「どう使っていいかわからない」ということになるということです。

 

結果、こどもの目先の欲を満たすだけの使い方になり、「大きなお金が入ったら、なんでも欲を満たして使い切っていい」などと、全く予想外なことを教えてしまっていることになってしまいます。

こう思ったまま大人になったら怖くないでしょうか?

上記はほんの一例ですが、よくありがちです。

どんなあげ方がいいのか?

お年玉をいくらにするかという具体的な金額の前に、整理しておくべき考え方についてご説明します。

まず、著書でもとりあげたお小遣いは、日常の生活に密着していることから、大人になるまでにお金を日常的に管理する習慣を身につけるのに最適です。

 

一方で、お年玉は、1年に1度のお祝いですので、【非日常】です。

しかも、こどもにとってはかなりの【大金】となることも多いでしょう。

 

つまり、まとまったお金の使い方の価値観が形成される重要な局面だということです。

お年玉については、こういった「非日常」かつ「大金」がこどもの手に渡るということを認識し、親としてしっかり「お金教育の意図」を持つ必要があるのです。

「浪費」「消費」「投資」の3つを教える

では、どんな「お金教育の意図」を持てばいいのでしょう?

そもそも支出には、大きく分けて「浪費」「消費」「投資」の3つがあります。

 

基本的には、ある一定の年齢になるまでは、「消費」「投資」は、親が担うべきと考えています。こどもには、稼ぐ力がまだないからです。

ただし、「浪費」については、こどもが積極的に取り組むべき領域です。

 

浪費は悪いことという意味ではなく、趣味や娯楽などの楽しみということです。

ポイントは、楽しいから無制限に費やしたくなる所を、感情をコントロールし我慢を覚えることです。

 

無制限にお金がある訳ではないので、大人になった時、しっかりお財布をコントロールできるようになるためです。

この浪費欲のコントロールをするのに、お小遣いが最適な訳です。
(著書:わが子が将来お金に困らない人になる「お小遣い」のルールを参照)

 

ところが、高額な【お年玉】が手に入ることで、せっかくお小遣いで、浪費欲のコントロールをしていたのに、台無しになる恐れがあります。

お年玉をあげる時は、普段のお金の習慣を壊さないよう、気をつけて行う必要があります。

 

そこで、お小遣いで培った良い習慣を壊さないだけでなく、逆にこの「非日常」かつ「大金」のお年玉の特性を活かして、

「浪費」「消費」「投資」の3つを教え、投資をする機会にするやり方をお伝えします。

お年玉をいくらあげるといいのか?

まず全体像からお伝えします。

お年玉という高額なお金をいきなり渡してしまい、その使い道を本人に完全に委ねてしまうと、混乱が生じます。親が思ってもみない方向へ舵を切る場合もあるでしょう。

 

こどもは、まだ自己コントロールが未熟です。極端にやり過ぎてしまう場合があるからです。

ある程度の枠は、大人である親が決めてあげる必要があります。

お年玉の総額については、毎月のお小遣いの10~15倍を目安に上限を30倍にするといいでしょう。

振り分けについては、以下を参考にしてください。

浪費分について
「浪費」に充てる金額は、普段のお小遣いの5倍程度を目安(10倍を上限)にすると良いでしょう。

多すぎると普段せっかくお小遣い制で培われた金銭感覚を壊してしまいますし、少なすぎるとお金教育として、お年玉が効果的ではなくなってしまうからです。

また、浪費に充てる金額を先に固定することで、残りを積極的に投資に向けさせる狙いがあります。

投資分について
少なくとも「投資額」は「浪費額」と同額を目安にすると良いでしょう。少なすぎるとお金教育として、効果的ではなくなってしまうからです。

一方で、上限は特にありません。ご家庭で決めるといいでしょう。高額になりすぎる場合は、「自己投資」と「貯金」に分けても構いません。

消費分について
ご家庭の事情や風習によっては、親類からもらったお年玉は一旦親が全額回収し、その後別途親からこどもに改めてお年玉として渡すパターンもあると思います。

それはそれで構いませんので、しっかりこどもにはお金教育として、例えば「こどもの塾や文房具、服として消費」に回したと、正直に伝えることが重要です。

投資の成功体験を経験させる

お年玉を活用したお金教育で、根幹の「投資」についての考え方をお伝えします。

「投資」と言ってもこどもに株式投資や不動産投資をさせる訳ではありません。ここで言う「投資」とは、【自己投資】のことです。

 

人生でなんらかの目標を達成したり、成功したりするには、いかに自己投資できるかに掛かってくると思います。

自己投資とはある分野で成長するために、お金や時間、注意を投入することです。

 

小中学校の段階で、この自己投資をすることで、ある分野で大きく成長し、目標を達成するという成功体験をしてもらいたいのです。

スポーツなら勝つこと。趣味や芸術なら上達すること。です。

 

世界一になる必要はありません。

自己投資(お金や時間、注意を投入すること)をしたら自分は上手くなれる。

自分は何でもやればできるんだと自信を付けてもらいたいのです。

この経験がその後の人生に大きく影響を与えます。興味を持ったものなら何でも構いません。

最も重要なのは意図と方向性

「投資」分をどう使うかは、親子で話合って決めるといいでしょう。

親子でお金について話合うよい機会です。お子さんにとっても良い思い出になりますので、ぜひ、膝を突き合わせて話合ってください。

 

前述した通り、意図は自己投資をすることで目標を達成し自信を付けること

その意図を持った上で、【親としてどう使って欲しいか?】という具体的な方向性を決める事が重要です。

 

やり方としては、まず、「浪費」「消費」「投資(貯金)」の話を、分かりやすい言葉で教え、大人になるまでは「消費」については親が払うことを伝えます。

「浪費」は、楽しみのために自由に使っていいことを伝えます。

そして、いよいよ「投資(貯金)」をどうするかを一緒に考えるのです。

 

一緒に考え、具体的な使い方のアイデアをいくつか出して、こどもが自分で決めさせてあげることです。ご自身(親)の意図の範囲内で合意するのです。

 

具体的な例を挙げてみましょう。

例えば、小学生の男の子だったとします。親であるあなたは、外で元気よく遊んでたくましく育って欲しい(方向性)と思っていたとします。

そして、お子さんも外遊びが好きだとします。

お年玉をもらった総額が1万円で、この男の子のお小遣いが月に1000円だったとすると、5千円は「浪費」でアウトドアの遊び道具を買ったとします。

「投資」は、同額の5千円が予算としてあります。

 

その場合、

「じゃあ、浪費の予算で買ったその●●(アウトドア)が上手くなりたいよね?」
「自分への投資として、そのアウトドアが詳しく載った本やDVD、丁寧に教えてくれる教室があるかもしれないから探してみようか?」

と言って、親がそのアウトドアを上手くなるための「本」や「DVD」、「野外教室に行く」などを提案してあげます。

 

きっと目をキラキラさせて一緒に探して、どれにするか親子で盛り上がると思います。そして、お子さんにどれがいいか決めさせてあげるのです。

自分が決めたことですし、好きなことですので、きっと思いっきり本気で取り組むでしょう。

そうなれば上手くなるのはあっという間、成果をあげるのはたやすいことだと思います。

 

もし、まだ興味があるものが特にない場合は、教えるのは、「浪費」と「貯金」だけでいいでしょう。

なぜなら、興味があるものが無い場合「投資」の意味を理解することが難しいからです。

その場合、お小遣いの3~5倍の3000~5000円は「浪費」に使う。

それ以外は、将来投資に使うために、今は「貯金」にしておこうと言って貯めておくといいでしょう。

 

いずれにしても、もらったお年玉を、「楽しみのための浪費」と「将来のための投資」に分けて、自分で自由に決める楽しさを経験してもらうことが重要です。

高額のお年玉をもらう場合

年齢が高くなったり親戚が多いなどの理由で、総額で数万円から10万円近くももらうご家庭もあると聞きます。実はそんな場合こそ意図が重要です。

親が意図や方向性を持たずに、(つまりどうするべきか分からない状態で)こどもに丸投げしようものなら

それがそのまま伝わり、こどももどうしていいか分からない状態になります。

 

まず親であるお父さんお母さんが、高額なお年玉をどうするか、お金の教育という意図を忘れずに方針をしっかり話合うべきです。

こどもにとっては降って湧いてくるお金として、(親にとっても)かなりの高額なので、「浪費」「投資」に加え、普段は親が負担している「消費」を入れてもいいかもしれません。

 

このような高額なケースも、「浪費」に充てる額は、普段のお小遣いの5倍、「投資」も5倍かそれ以上という前述のルールを参考にすると良いでしょう。

バランスを崩さないことで、子どもの興味が投資に向かうことを妨げないよう気を付けましょう。

 

大事なのは、お年玉は、将来お金で困らないためのお金教育という認識です。

そして、その認識をしっかり持った上で、こどもとどう振り分けるか向き合います。

 

こどもが将来お金に困らないための練習ということをしっかり伝えて、どう振り分けてどう使うかを親子で共に楽しんでもらえたらと思います。

本来お金をどう使うかを考えるのは楽しいことなのですから。

エピソード
ちなみに、我が家では、小学校低学年では、総額1万円程度でしたので、半分は貯金。半分は浪費として楽しみのために自由につかう。

小学校高学年では、総額3万円程度になりましたので、1万円は浪費、1万円は自己投資、1万円を貯金にと目安にしました。結局浪費も自己投資も予算をオーバーすることはなく、貯金に回りましたが。

 

正直な所、我が子に、当時はここまで明確にお金教育をした訳ではありませんでしたが、意図を持って接したお陰で、今でも貰ったお金を全額浪費に使い切ったりせず、計画的な大きな視点でお金と向き合えるようになったと思います。

何より、明るく失敗を恐れないチャレンジ精神旺盛な子に育ってくれたことが本当に嬉しいです。(親馬鹿がかなり入っていると思います。ご了承くださいm(_ _)m)

 

以上のように、親として意図を持って、「浪費」「消費」「投資(貯金)」を教えることが重要なのです。

そして、自己投資をすること、つまりお金や時間、注意を興味のある分野に投入することでぜひ成功体験をさせてあげてください。

きっと明るく前向きに少々のことではへこたれない子に育ってくれると思います。

参考例

◆小学校低学年等
まだ「浪費」「消費」「投資」「貯金」が理解することが難しい場合は、例えば3000~5000円は浪費に使う。それ以外は貯金に回す。

 

◆小学校中学年以降
ある程度の年齢で、理解できそうなら、「浪費」「貯金」に加え、「投資」の3つを親子で話あってどうするか決めるといいでしょう。

例えば(50%)は貯金する。残りの1/4(25%)は楽しみの為に浪費し、残りの1/4(25%)は自己投資にするなどでもいいでしょう。

 

◆各家庭のルール
「投資」だけでなく、「消費」を加えてもOKです。

例えば、4つを均等に分け、「浪費」「消費」「投資」「貯金」をそれぞれ1/4づつ使うというのも1つのアイデアです。

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